細い死神

NBAファイナルが13日に終わりシーズンが終了した。

映画が好きで入会したWOWOWは映画以外にもチャンネルがあるので、観ないのは損かな、と僕のケチ性分が働き、高2の頃からNBAをフルシーズンで観ることにした。

僕はもともとスポーツ観戦は自分が10年やっていたサッカーを観るぐらいで他のスポーツはあまり見ていなかった(モータースポーツも観るのだが、個人的にはスポーツとは捉えていない)。

NBAを初めて見た時はとにかくいろんなものに驚かされた。

まずは選手のデカさ。

なんだあれは。

例えようがない。

実は僕は185センチで、まぁ、日本人の中じゃ高い方だし、街を行く外国人観光客を見ても自分の方が高いか、同じくらいか、ちょっと高いくらいか。

それくらいだ。

だからNBAを観て自分よりデカイ人間がコートにゴロゴロいる環境はとにかく未知数だった。

彼らは縦に長いだけではなく、とにかく横にもデカい。

スポーツ中継は広角レンズで撮るからあまりその辺が伝わらないけど、それでも彼らの大きさたるや、恐ろしいほどに伝わる。

驚かされた事はまだまだある。

あのガタイで、めちゃくちゃ速い。

考えてみればバスケという競技は疾走感が醍醐味で、それをする彼らが速いのは当たり前なのだが、2メートル越えの選手があのスピードを展開しているのにとにかく興奮した。

そして一番驚いた事はアリーナ。

観客の人数、盛り上がり、パツキンでグラマーなお姉さんが踊れば、チームのマスコットキャラも踊る。

そこにいる人はとにかく楽しそうで、日本では恐らく味わえない。

そういったことを含めて僕はNBAの虜になった。

バスケはせいぜい学校の体育でやったくらいだが、今ではNBAを観るのがとにかく楽しみだ。

話を戻すと、今シーズンのNBAを語るのに重要なのは「ケビンデュラントの移籍」。

シーズンオフに彼が移籍先に選んだチームは2年連続でファイナルに進んでいるGSW。

そのチームに現役でも指折りのトップスコアラーが移籍した、というのは多くのNBAファンを様々な感情に包ませたと思う。

デュラントに関していろんな意見を聞いた。

否定的な意見がやはり多くて、まぁ仕方ないだろうとは思っていた。

事実僕も「男 デュラント」を見たかったのでこの移籍には最初は残念だった。

ただ、13日、デュラントがリングを掴んで本当に嬉しそうなのを見て、そういった感情は消えた。

ファイナルのデュラントから伝わるのは「二度とバスケできないくらいに、負かしてやる」という気迫。

自分はこのファイナル、キャブスを応援していたが、この気迫に鳥肌が立った。

かっこよかった。

男の子が好きなやつだ。

そう思った。

この優勝の仕方がどういう風に見られるかなんて正直どうでもよくて、ただ、1人のバスケットボールプレーヤーが目指していたものを手にした、という光景が僕にはとにかく良かった。

ケビンデュラントといえばMVPを取った時のスピーチが印象に残ってて、そこから好きな選手の1人だった。

極貧だった幼少期。

バスケ一筋でアメリカンドリームを手にした。

批判をはねのけ頂点に立ったデュラントを見た時にグッと来るものがあった。

この世界は結果が何よりも力を持っていて、タラレバは所詮タラレバ。

デュラントはファイナルでとてつもないスタッツを出して、チャンピオンになった。

チャンピオンを取った形、言いたいことは分かる。

僕らはスポーツに対してストーリーも求めていて、今回の移籍がそれとは違うのも分かる。

けどあの気迫と、優勝したいという気持ちが本当に伝わったから。

スタッツだって充分だった。

あの気迫が、あの喜んだ顔が僕の中で移籍を許した。

まだまだプレーできる年齢なんだし、ストーリー性に関してはまた別のシーズンで作ってもらえればいい。

レブロンだって一時は悪役だったのだから。

細い死神、ケビンデュラント。

本当にかっこよかった。

おめでとう。