アウェーのち、ホーム

京都の市バスは時にアウェーになる。

大学が終わりバスに乗った。

おばあちゃんが1人だけ。

僕と、おばあちゃん。

そして次の駅から外国人観光客が一気に乗車してくる。

バスは一気に満員。

そこにいるのはクソデカイサングラスをつけてる韓国人、角刈りの中国人、ブロンドで露出度が高いどこの国か分からない人、刺青、ジャスティンビーバーのなりそこない、多分中東の人。

日本人のおばあちゃんも1人乗ってきたが、肩身が狭そうだ。

優先席のルールを知らなかったジャスティンビーバーのなりそこないが、おばあちゃんの服を軽く引っ張り、どうぞ、と妙なイントネーションで席を譲り、おばあちゃん、せんきゅー。

アウェーだ。

今なら中東で試合をするサッカー日本代表の気持ちが分かる。

バスのアナウンスは日本語よりも英語、韓国語、中国語が繰り返し伝えられている。

つまりこれは、「中東の笛」ってわけだ。

僕の国なのに、もっというなら、通学路なのに。

仲間はいないのかと、キョロキョロしてるとクソデカイサングラスをかけた韓国人女性と目が合う。

睨まれた。

彼らは手に85%の確率で八ツ橋を持っている。

皆んな楽しそうだ。

撮った写真を見返して、キャッキャッしている。

そこにぽつんといる京都の大学生。

英語科だし、多少なら英語は分かるから、ジャスティンビーバーとブロンド露出女の会話を聞いてみることにした。

会話内容は「これは日本人か?中国?韓国?わからないね、どれもこれも一緒に見える」といった感じ(多分あってる)。

たった2限受けて帰るだけのくせに、大学に行くという行為だけで疲れてしまった日本人の僕と、撮った写真やらお土産やらを見たり、コンビニのビニール袋に入れたまま伊右衛門を飲んでいる楽しそうな外国人観光客。

同じ空間にこそいるが、全く違う。

不思議だ。

15分くらい経つと僕はもう周囲に興味がなくなり、イヤホンをつけ、窓から見える京都の景色を見る。

ビルばっか。

ボケっーとしているとジャスティンビーバーのなりそこないが僕の肩を叩く。

めっちゃビビった。

iPhoneを見せられた。

スクリーンには日本語翻訳アプリなのだろうか、日本語があった。

「使えるのかカードこの一回分からない使った」

意味が分からなかった。

かっこつけたかったから英語を使うことにした。

1日乗車券のことだった。

会話はすぐ終わった。

英語を使った。

おばあちゃんが僕を見ている。

どんなもんだ。

ちょっと気分が晴れた。

バス降りたら駅で、外国人観光客に話かけて英語使おうかな、と思ったが腹減ったし、バイト遅れたら嫌だから、帰ることにした。

「unlimited」

自分の言った英語が脳内再生される。

うん。

単語じゃねぇか。

なっさけねぇ。

電車に乗るとそこは、さいたま2000スタジアム。

日本人が沢山いて、ホームだった。